エジプトに見るソーシャルネットワークの使われ方

チュニジアで起きた通称「ジャスミン革命」に端を発してエジプト、イエメン等々アラブ諸国で次々と反政府デモが起きています。
この反政府デモや情報の共有にはインターネット。特にFacebookTwitterをはじめとしたソーシャルメディアが多くつかわれていることから「ソーシャルメディア革命」なんて言われ方までしています。


ソーシャルメディア革命。ソーシャルネットワーク革命。
なんだかカッコいいように見えますが、ソーシャルネットワークはあくまで情報基盤。インフラです。
ソーシャルネットワークをインフラとして見た場合、ソーシャルメディアは発信元がマスメディアではないので、より市民目線での情報操作や利益を考えた思惑が少ない情報になります。そういう意味においてはマスメディアよりは情報操作がなくいいように感じられます。しかし、個人が発信しているが故の勘違いや誤解。全体感を無視した情報も交じってくることも起こります。
今回のように"不満"に端を発した用いられ方をすると、特にそれが相乗効果となって円満するのではないだろうか。そんな気までします。

エジプトで起こっていること。
政府がネットワークを遮断しようとしたり規制しようとしたりしていることもあり、逆効果でものすごい量の情報が発信されています。Twitterで「#egypt」を見てみるとその量の多さに圧倒されます。
ここまで情報量が多くなると、そのスクリーニングが非常に大変な作業になり、目の向かう先は目立つ発言になりがちです。たとえば

5 Year Old Child Heads Demo in Alexandria Egypt
http://bit.ly/hoBYyq

5歳の男の子がデモの先頭に立って率いているという動画。
ただ、男の子はプラカードを時折見ながら叫んでいる。5歳と言えば日本では小学校に入る前。
絵としてはすごい印象に残る絵だけど、どうなんだろう。担がれているだけじゃないだろうか

Picture Of The Day: Cairo Protester Holds Sign That Says “Thank You Facebook
http://bit.ly/foG68r

デモ参加の男性がFacebookと書かれたプラカードを持っている写真。題名は「Thank you Facebook」。
ソーシャルネットワークが活躍している。それは間違いない。
だが、

NBCのレポーター「エジプト人Facebookに感謝している写真」をツイート
http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/2011/02/nbcfacebook-962.html

ここにある通り、実際に書いてある内容としては別に「ありがとう!Facebook!」と言っているわけではないようだ。


これらのことが、何らかの意図があってこうなっているのか。また、特に意図がなくこうなっているのか。それはわからない。
多くのブログやツイートが出回っている中で、いかに自分の発言や発信に興味を持ってもらうか。大仰な題目でブログやTweetを書くようなことになっていないのか。


ソーシャルネットワークは先に書いたとおりインフラ。
そのインフラを使うのは結局我々人間なわけで、どれだけインフラが整備されて使い勝手が良くなっても使う側が変わらなければその先は見えてこない。
若輩ながら、一人の技術者として思うのは、技術は正しい方向に使われてこそよい発展をするものだと思っている。
本来、向かいたくない方向であったとしても、人間がそちらを向いていると実は技術も向かうことがある。もしくは本来の発展が滞ると言う形かもしれない。
この分野の技術や考え方と言うのは今、とても早く発展している。
これらが2年先、5年先、10年先。どういう方向に向かうのかがとても楽しみであり、その頃の人間はどういう考え方を持っているのだろうかというのは少し不安だ。
さてはて。どうなるでしょうね。