枠からはみ出す仕事術

地震のゴタゴタがあったおかげで、随分と読んでいない本がたまってしまった。遅ればせながら美崎さんの新刊を読んだ


枠からはみ出す仕事術
美崎 栄一郎
サンマーク出版
売り上げランキング: 3999



読んでみて最初に思ったのは、美崎さんも随分と苦労してきているんだなってこと。
初めて美崎さんと会ったのは、今はどうも行われているのか行われていないのか怪しくなってしまったジョブウェブの朝食会。
今記録を見返してみると、2008年の夏の話か。
色々精力的に活動されている話を聞き、周りが比較的私よりも若い世代だったこともあって
「私ももっと早くな〜」
的なことを言ったときに美崎さんが
「いや、私も始めたのは最近ですよ」
と話されていたのを思い出す。
今の時点はもちろん、あの時点に行くまで、本に書いている以上のあれこれがあったんだろうな、、、と考える。

成功の予測、失敗の予測

そこで私は、上司への腹いせ、ストレス発散のために、どうせ失敗するなら100パーセント予測どおりに失敗させることにこだわりました。(p.109)

失敗が予想される実験をひたすらにやらされる際のエピソード。本書を読んでいると、たびたび出てくるのが「上司への腹いせ」的な行動だ(笑)
ただ、この「(成功・失敗の)予測」とその結果の突き合わせと言うのはとても大事であることを再認識するエピソードでもあった。
自分自身がコントロールできる作業や内容であればもちろんそれは失敗しないように修正をかけていくところだが、他人が立てた計画に関しては時として失敗の予測がたっても放置する時がある。
どう考え、どう動くのかを見たい時だ。
ただ、あくまで"なんとなく失敗するだろうな"程度にしか考えていない。それはたぶん、観察が足りていないんだと思う。


よく見、よく考える。何が起きるのか考える力を磨いていかないといけない

小うるさい平社員

考えてみると、私が入社して間もないころはよく仕事の合間に遊んでいた。
与えられた仕事を予定よりさっさと切り上げてしまい、そのすきま時間でちょっとした便利ツールを作るのだ。
「このあたりの設定が面倒だ」
「〜をするのに時間がかかるな」
と言う話を聞いて、「そうなんだ〜」とだけそっけなく答える。そしてこそこそツールを作って渡す。
ツールを作ることで、自分自身の少ない経験値を少しでも貯めるついでにちょっとした恩を売っておく。
代わりに、ちょっと小うるさく話をしても許してもらえる。
そんな感じの過ごし方だった。


いつの間にか、そういうことをやらなくなってしまったな。


それはやっぱり、デスマーチと呼ばれるようなプロジェクトへの投入や多少なりとも立場の変化。価値観の変化もあったんだろう。
色々と本を読んでみもした。ただ、小手先で実行したとしても忙しくなるといい加減になる。

本に書いてあるノウハウは「知る」ものではないからです。「インストール」して実行する事に意味があるのです(p.87)

つまり、それを「実行し続ける」、「自分のものにする」と言う状態に持っていけていないわけだ。
インストールしたツールが私と言う環境に対して合うように設定変更されていない状態。使えなくはないけど、万全ではない。
そして忙しくなると楽な道を選んでしまい、中途半端な状態になってしまう。
本来、「楽な道」であるはずのツールのインストールが負荷になってしまっているわけだ。これじゃ本末転倒ですね。
ふむぅ。

どう枠からはみ出すのか

その他、「運」と「実力」の境界線等々考えさせられる内容があった。面白い。
サラリーマンと言う立場を続けたまま著作活動をされている美崎さんは、セミナーに行ってもやはり人気だ。同じサラリーマンという立場と、持ち前のキャラクターが原因だろう。
美崎さんに影響されてセミナーを主催したりする人も結構いた。
ただ、ある時から少し違和感を感じるようになった。
一派から派生したセミナーは、似たような内容、同じゲストの集まりになりやすい。応援する人が同じだから。
また、有名な著者が来ればそれは有名な著者の集まりになる。
さらに、これは私の残念な性格故なのだが、周りが好き好き人間ばかりになって、一種の信者のように見えてくる。偏屈な私には少し情熱的すぎだ。


今となってしまえば、そんなに気にする必要はなかったのではないかとも思うんだけど、そんな風に考えていた時期が確かにあった。
んー、単純にガキなだけなのかもしれない。
自分自身が、相手と対等に向き合うことができる魅力を持っていないと考え、前に出ていかずにそれでいてぐずっている。
そんなところであろうか。ちょっと痛いな。
もう少し、まともな枠からのはみ出し方をしていかないと、はみ出した先がひどいことになりそうだ